『シニカルさが減量』
前作、前々作に引き続き「ゆるゆる系」だろう。「まったり系」とでも言うか。いくら電子音をまぶしてもキリンジらしさは隠蔽できない。彼等に商業主義は似合わない。よって、華々しいヒットなんて必要無い。というか、売れて欲しくないというのが本音かもしれない。私だけのために、時間をかけて身と心をじっくりと侵食してくれれば申し分無い。独占欲をかき立てる極上の贅沢なのだ。
現在のお気に入りは「アメリカン・クラッカー」と「CHANT!!!!」だ。もともと私は高樹ファンだが、今回は泰行が結構健闘している。ソロアルバムでの出来からすれば、頭ひとつ優れたクオリティーだと思う。兄貴を目の前にすると、闘争心が沸いてくるのか。あるいは、兄貴が横でこっそり曲作りの手ほどきをしているのか。「アメリカン・クラッカー」などは、高樹作だと言われても信じるかもしれない。けだるさと美しさが同居する不思議な曲だ。歌詞は繰り返しが多くて、非常に短い。「典礼聖歌」の方は、「MUSIC!!!!!!!」以来のエクスクラメーション・マーク増量となっている。泰行ホントこのマーク好きだ。前はマーク7個、今回は4個。私は視力1.5なんで数間違っていないと思うが。いずれにしても自信作ということなのか。
今後「効いてきた」状態になってくる可能性が高い曲は、「Golden harvest」「ロマンティック街道」といった高樹作品であろう。前者はあの「パキパキ」「ピコピコ」が既に効き始めているが。嫌に耳に残る。それから、「ロープウェイから今日は」みたいに、あの顔から想像もつかない平和な歌が効き始めたら、これは素敵なことだろう。従来の高樹なら、柔らかいメロディーに残酷な歌詞をよく盛っていたものだが、今回はそんなシニカルさが減量。結婚生活が順調と見える。
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