フリー・ソウル、カフェ・アプレミディなどのコンピ・シリーズで知られる橋本徹(SUBURBIA)がはじめて日本人アーティストのプロデュース、コンパイルを手がけた、というだけでも注目に値するわけだが、このアルバムの本当の魅力とは、アントニオ・カルロス・ジョビンという20世紀を代表する作曲家の、多面的で奥深い音楽性――フランス印象派、現代音楽にも通じるような――をはっきりと伝えていることにある。アコースティック・ギターの弾き語りによる曽我部恵一の「イパネマの娘」、猥雑と上品のバランスが最高な南佳孝による「彼女はカリオカ」。ジョビンの2番目の妻となる女性・アナに向けられた求愛の歌「トゥーカイツ」はオレンジペコー feat.ピエール・バルーにより新しい躍動感を与えられ、土岐麻子のやわらかい生命力に満ちたボーカルが「フォトグラフ」に美しい彩りを加えていく。'00年代ジャズの鬼才・菊地成孔との仕事でも知られる中島ノブユキが参加していることも、このアルバムの成功の要因だろう。(森朋之)
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