『新しい「京都慕情」。』
渚ゆうこが過去にリリースした「京都慕情」は間違いなく名曲である。ベンチャーズ作曲による、湿っぽく、それでいて何処か胸をえぐられるような、渚ゆうこだからこそ歌い上げられる力があの曲にはあった。
過去の名曲をカバーするというのはある種危険なことである。その曲の知名度・人気が高ければ高いほど、その注目は大きくなるが、それに比例してカバーによる完成度・オリジナリティが要求される。しかもそれをデビュー曲として発表するからには、いやおうなく期待が高まる。
結論から言えば、私はこのSunnySideUpによる「京都慕情」が好きだ。
確かに渚ゆうこのような力は彼らにはない。あの曲で感じたような情緒という言葉はふさわしくない。
しかし、彼らが持つ若さ、その声の真っ直ぐさに心をうたれてしまう。新しい時代の、何処かポップさを備えた彼らだけにしか歌えない「京都慕情」が此処にはある。この曲を自分たちの物にしたときの、つまり将来の彼らを期待させる、デビュー曲としてはこれ以上のものはないと思う。
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