『世界一のプロテスト・シンガー』
「ヨイトマケの唄」のマキシ・シングルの項でも書いたが、美輪明宏はボブ・ディランなど比べ物にならない世界一のメッセージ/プロテスト・シンガーである。それを決定づけたのが、75年にエレックから発売されたこのアルバムなのである。
特にLPのA面にあたる最初の5曲は、壮絶極まりない。他の方がレビューを書いてくださっているので特に書かないが、「祖国と女達」のような歌はメジャー・レーベルから再発されることは不可能なのか。巷にはあれほど下品で陳腐な歌詞の歌が氾濫しているというのに。
「思わせぶりで絵空事の羅列のような歌」・・・80年代には渡辺えり子女史がこう表現されている歌ばかりが流行っていた。いじめや非行、不倫や児童虐待、家庭崩壊を美化したような内容がネチネチと歌われているような歌ばかりがヒットチャートの上位を賑わし、「ヨイトマケの唄」(や美輪さんも熱唱しておられる「花?すべての人の心に花を」)のような歌など振り向きもされていなかったのである。21世紀に入ってこの歌が再注目されているのは、少しはこうした風潮が反省されたからなのであろう。
このアルバムと77年にソニーから出た2枚組ライヴ盤「老女優は去り行く/美輪明宏のすべて」(これも未CD化、一体どうなっているのか)は、私のシャンソン観を一変させてしまったのである。
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